骨折を受傷した際に使用するギプス包帯(通称ギプス gips:オランダ語で石膏の意)。骨折されたことがある方は巻かれた経験があるかもしれません。
骨折部を固定する概念は紀元前1700年代のメソポタミア文明まで遡りますが、石膏を混ぜて固める現在につながるギプスは、オランダの軍医であるアントニウスマタイセン(Antonius Mathijsen)氏が19世紀のイギリス・オランダ戦争の時に考案したそうです。怪我を負った兵士の治療を効率良く行う必要があったためです。
日本においては、薬剤師であり実業家であった尾澤豊太郎(おざわほうたろう 1857~1920)氏がギプスの製造に成功しました。
最近では石膏はあまり用いられなくなり、水硬性ポリウレタン樹脂(水につけると化学反応を起こし硬くなる)を浸含させたガラス繊維キャスティングテープが主流です。これはX線透過性が良いため、巻いた状態でもレントゲン写真で骨折部を確認しやすく非常に便利です。
「戦争は医学を発展させる」というある意味皮肉な文言がありますが、ギプス包帯の考案もその例と言えるでしょう。
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