小学生の鉛筆の主流が2Bになっているというニュースを最近目にした。筆圧の低下がその理由で、中には6Bを好んで使う子もいるという。
「やっぱり2Bの方が書きやすい」
という主旨の男児生徒によるコメントを見た時、私は整形外科医として「未来の高齢者」たちの将来が気がかりになった。
握力低下によって、紐を結んだり定規で線を引くことが苦手になってしまう。手を使わない生活に慣れてしまったり、外で遊ぶ機会が減っていることなどが理由として挙げられる。
握力だけでなく、近年の子供達の4割程度に身体機能全般の低下を認めているという。下記のような事例が増えている。
朝礼で立っていられない。
転倒すると手をつけず顔面を打つ。
雑巾掛けをすると手で支えられず歯を折る。
やはり早急な対応が必要ではないか。
まず学校での運動教育が大切であると思う。子供たちが運動を好きになり、運動習慣が自然とつくような指導が求められている。「体育嫌い」な子供が多いという現状があるが、その要因を見極めて運動好きな子供に変化させるような教育が広まって欲しい。
骨の成長という観点から見ると、骨が発育する機会は人生の中で一度しかない。以前私はTwitterでこのような投稿をした。
つまり骨を丈夫にするためには思春期よりも少し前から適切な運動が行われている必要があるのだ。まずこの事実を親御さん達とも共有したい。
勿論運動には個々人に応じた適切な方法や時間・量がある。
例えばジャンプは背骨と大腿骨の骨量を増加するという研究報告があり、思春期前からの縄跳びの指導が有効であろう。
スウェーデンの研究では小学生に1日40分の運動を週5日取り入れると大腿骨の骨量が上がるという報告がある。
こういった研究報告を参考にしながら、日本人の個々の子供の体力や身体能力に合わせた運動教育が求められていると思う。
運動のやり過ぎは勿論避けなければならないが、子供の運動不足は将来に影響する深刻な問題である。
体育の授業が好きで、外で遊ぶ習慣を身につけられるような子供がもっと増えることを願う。
スマホは脇に置いて。
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