解体新書の翻訳における杉田玄白と前野良沢のスタンスの違い<YouTube動画>

5色の糸が入り乱れているのは、みな美しいものであるが、わたしはそのなかの赤とか黄とか、一色に決めて、あとの色はみな切りすてる気持ちで思いたったのである。
講談社学術文庫 杉田玄白著、片桐一男訳「蘭学事始」

これは杉田玄白が晩年になりターヘル・アナトミアを翻訳した時の気持ちを記した言葉です。

翻訳を共同で行なった蘭学者の前野良沢は、自身の名を「解体新書」に載せることを辞退しました。それはオランダ語の翻訳が完璧ではない部分があったと彼自身が考えていたからです。

例え完璧ではなくてもできるだけ早く世に出して病に苦しむ人々のためになりたいと考える医師の杉田玄白と、あくまでも翻訳は完璧にしてから出版するべきであるとする蘭学者の前野良沢は、同じ学者でも学問に対するスタンスが異なっていました。そしてそのスタンスの違いから、解体新書の翻訳終了後に2人は疎遠になっていきました。

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