「植物のいのち」を読んで

植物のいのち

私達は花を摘んだり、雑草を抜いたり、草の上を歩いたりします。
植物はその時どのように”感じている”(表現が適切か分かりません)のだろう。

そんな漠然とした疑問を持っている中、偶然新聞の書評欄で中公新書の「植物のいのち」という本を見かけたことが本書を読むきっかけとなりました。

この本では何億年も前から紡いできた植物の命の仕組みについて丁寧に解説されています。
植物は自分の命を守るために、

動きまわらない、何も語らない、密にならない、他のものに頼らない

ことで自分の命を守ってきたと著者は述べます。実は “3密” を回避する術を植物は何億年も前から身につけ実践していたのです。

考えてみれば当たり前かもしれませんが、人間は植物なしに生きていけません。それは私達が食する動物も植物を食べて生きているからです。一方植物も、命が尽き微生物に分解されたた動物の死骸を養分としていますし、人間の手で接ぎ木や品種改良されることによってより広く命が紡がれているのです。普段は植物を見てもそんな意識はほぼ皆無でしたが、「ライオンキング」の冒頭で歌われる “サークルオブライフ(生命の輪)” が常に自然界をめぐっているのです。

植物は花を切り取られると、「頂芽優勢」という性質によってそれまで抑制されていた側芽が頂芽となり花を咲かせます。そして最初の花が切られなければこの側芽は花を咲かすことなく生涯を終えるそうです。

摘まれた花の下にある側芽に新しい花を咲かすチャンスを与えることにつながるのであれば、花を摘む行為をそれほど心苦しく思う必要はないのですね。(ただ最近の研究で植物にも傷害を受けるとある種の伝達物質が伝わるメカニズムが発見され、痛みを感じている可能性があるのかも知れません。)

よく「雑草を根っこごと引き抜いてもまた生えてくる」といいますが、実はこの言葉は正確ではないようです。全部引き抜いたと思っていても、地下部で根は非常に広く分布しているため、実は全部抜けていないのだそうです。

私が本書を読む前に漠然と抱いていた疑問は、動物よりも長い歴史を営み進化してきた植物にとっては杞憂だったのかもしれません。本書はその他様々な面白い事実を示してくれています。特に植物の誕生において植物とその種はどちらが先に生まれたのかという話も大変興味深いものでした。

今後さらに研究が進み新たな事実が発見されることを楽しみにしています。特に個人的には「植物の痛み」に関する研究が進むことを期待しています。

最後までお読みいただきどうも有難うございました😊

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